里親制度を知っていますか。養子縁組と異なり、家庭での養育が困難になった18歳未満のこどもを、一時的または長期的に家庭に迎え入れ養育する制度です。昨年度は、神戸市内で新たに22世帯が里親登録をしています。こどもたちを温かな家庭で健やかに育んでいくため、里親になってみませんか。
里親になるために
特別な資格は必要ありません。こどもの養育に理解や熱意、愛情があるなど一定の要件を満たせば、誰でも申請し研修を受けることができます。
1 | こども家庭センターまたは家庭養護促進協会に相談 |
2 | 研修を受講し、里親登録を申請 |
3 | こども家庭センターによる家庭訪問 |
4 | 審査・登録後、子どもとマッチング |
新米里親の奥田さん一家にインタビュー
今年8月から、里子を預かることになった奥田さん夫婦。里親になるきっかけや、日々の生活の変化、感じていることなどを聞きました。
里親になろうと思ったきっかけは
ーー里母
私は保育士をしているのですが、担当していた子が施設に行くこともありました。施設で育つのもいいですが、家庭的な環境で育つことがこどもに大事と聞いたので、里親になってこどもの成長を見守りたいと思いました。
ーー里父
僕はもっと漠然としていました。妻から里親について聞き、理解を深めていきました。僕の兄弟が多いこともあり、小さな頃から、こどもがたくさんいる家庭はいいなと思っていました。社会の役に立てたらなと思っていたのもあります。
里親に登録後、里親委託前のトレーニング研修を受けていかがでしたか
ーー里父
こどもの気持ちとして、里親を受け入れるまでに時間がかかることが、分かりました。
ーー里母
登録した時点で、ある程度里親になる覚悟はしていました。でも、不安がいっぱいだったのですが、研修でいろんなケースを知ることができて、安心しました。研修を受ける度に覚悟が決まったかなと思います。
初めての対面はどうでしたか
ーー里母
こどもに会って、私はどんな感情が湧くのかなと思いました。楽しみと緊張がまじっていましたね。
ーー里父
ギャン泣きされました。大丈夫かなと不安に思いましたが、その日のうちに抱っこさせてくれたので、ホッと安心しました。
大変だったことはありますか
ーー里父
交流期間中に、こどもが風邪を引いたときですね。1日中何をやっても泣いていて、理由が分からず困りました。そのときは、この子を本当に預かれるのかな、どこかケガをさせてしまったのかなと心配しました。
ーー里母
当時は泣いている理由が体調不良と分からず、こどもも心配でしたが、夫もストレスを感じているんじゃないかと心配でした。あのときは、どっと疲れましたね。
委託式はどんな気持ちになりましたか
ーー里母
児童相談所のケースワーカーや心理士、里親支援専門相談員といった方々が8人ぐらい集まってくださり、「家族だけで悩まずに、サポートするメンバーがいることを覚えておいてください」と言ってくれて、感動しました。
ーー里父
子育てで困ったら、必ず誰かが助けてくれるという安心感がありました。逆に、一般家庭にはこういった目に見えるサポートがありませんからね。
ーー里母
一組の里子と里親を、こんなにたくさんの専門家が支えてくれるんだと。お名前を拝見するだけではなく、皆さんに実際にお会いできたことは、段違いの心強さでした。
楽しいと感じるときは
ーー里父
僕は音楽が好きなのですが、面白い音を出すと反応してくれるんです。また、口癖が独特で、ブンブンと言います。新しい喃語(なんご)を常に開発していますね。
ーー里母
開発しては、嬉しそうにしゃべっているので、見ていてとても面白いです。
ーー里父
僕は、妻が楽しそうというか元気になったのを見るのも、とても楽しいです。
ーー里母
おうちが明るくなりました。土・日曜はゴロゴロ寝て過ごしていましたが、今はこどもと遊ぶことが楽しいです。
それと、この子は石が好きですね。公園にある普通の石から、気に入ったのを持ってくるんです。「いろいろ素敵なものがあるんだな」と私自身、久しぶりに石の違いに気づきました。視線の低い世界を見せてもらえるのが、面白いです。
何か気づきはありましたか
ーー里父
こどもが世の中にたくさんいることに気づきました。今まではベビーカーも目に入っていなかったのに。
ーー里母
こどもを育てにくい社会と言われていますよね。でも、この子と暮らしてみて、こどもと過ごす時間は、とても素敵な時間なのだと気づきました。こどもは、知らなかった世界を教えてくれるので、すごいと思います。だから、この時間を大切にしていきたいです。
問い合わせ
こども家庭センター
TEL 078-599-7300 FAX 078-977-8085