広報紙KOBEの編集部が実際に訪れて、聞いて、味わって、神戸の名店が愛されてきたそのワケをお伝えする連載の第2回。
今回は、六甲の山手で「カレッジママ」と大学生に慕われる、名物店主に会いに行ってきました。
生地やソースを一から手作りしたピザが人気
今から53年前、六甲でまだ珍しかったピザを扱うお店として始まった「ピザハウスF」。
低温で長時間発酵させた生地、オリーブオイルとにんにく、オレガノにホールトマトを約30分煮て作るトマトソースを使って、シンプルだけど丁寧に作られたピザが人気です。うまみがある生地は耳までおいしく、ぺろりといただけてしまいます。
サイズやトッピングを選んでオーダーできるほか、ステーキピザといったオリジナルメニューもあり、飽きさせません。
直径約25㎝のおまかせピザに直径約18㎝のフルーツピザ、さらにサラダとソフトドリンクがついた「本日の奉仕品 ピザセット」は、なんと980円! ソフトドリンクをワインかビールに変えても1,080円という破格なんです。
そして、お酒を飲む人が楽しめるよう、おつまみもスタンバイ。
酢の塩梅が絶妙は野菜のピクルスと、しっかり煮込まれた牛すじの赤ワイン煮をいただくと、ビールが飲みたくなりました!
こんなに魅力的なお料理の数々がいただける「ピザハウスF」ですが、一番の魅力は、かっこよくて温かいママなのです。
神大生の胃袋と心を満たす「カレッジママ」
お店を営むのは、藤田静江さん。
ヘアバンドにジーンズ姿で厨房内を身軽に動き回る様子は、かっこいい!の一言。
今年4月に88歳を迎え、ひ孫が5人もいらっしゃるとはとても思えません。
就職や恋愛の相談をする学生たちがつけた愛称が「カレッジママ」。
代々アルバイトとして働く神大生からは、「ママは怖いし厳しいけど、体の中に流れているものは優しくて温かい」と慕われ、ゼミ生を連れて通う教授も多いそう。
六甲を離れても、「近所に来たから」と顔をのぞかせる元神大生も少なくありません。
六甲のまちで、これからも変わらぬ味を提供
オープンは1971年。当初はマンションの1階にありましたが、阪神・淡路大震災で建物が被災。今の場所へ移転した後にご主人が亡くなり、藤田さんは一人で店を切り盛りされてきました。
「六甲は、芦屋ほどセレブでもないし岡本ほど派手でもない。昔も今も飾らないところが私にはちょうどいいです」
藤田ママに次の代はと聞くと、「続けてくれる人がいたら、私もつけてこのままお渡ししたい(笑)。でも、まだまだ現役でやっていける限りはがんばります」と頼もしい一言。 カレッジママに元気をもらい、心まであったかくなるピザを味わいに行ってみませんか。
店舗情報
店名 | ピザハウスF |
ジャンル | 洋食 |
住所 | 神戸市灘区宮山町2-4-4 五光マンション1階 |
営業時間 | 16:00~22:00 |
定休日 | 火曜 |
取材日 2024年7月26日
阪神・淡路大震災、新型コロナウイルス感染症を乗り越え、市民に愛され続ける飲食店を、市民からの推薦を元に、神戸市は「神戸名店百選」として2022年度に選定しました。 「神戸っ子が愛する、こうべごはん。」は、「神戸名店百選」から紹介します。
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