広報紙KOBEの編集部が実際に訪れて、聞いて、味わって、神戸の名店が愛されてきたそのワケをお伝えする連載の第3回。
今回は、三宮のセンタープラザ西館地下1階にある、市内でも数少ないあなご料理の専門店を紹介します。飲食店がひしめき合う駅近の地下街で、創業からの味を守り続けるご主人と奥様の料理を食べに行ってきました。
タレが決め手!備長炭で焼いたあなごが人気の秘密
昭和53年開業の「あなご料理 大善」。備長炭でじっくり焼いたあなごは、ふっくらジューシーで炭の香りがふわっと鼻から抜けます。あなごと言えば、甘辛いタレが塗られた握り寿司のイメージが強いですが、こちらの秘伝のタレは、甘味を抑えた醤油ベース。ごはんが止まらなくなります。あなごとごはんを海苔と一緒に巻いて食べるのもよし。山椒をかければ味に変化があり、最後のひと口までおいしくいただけます。お米は、西区産のコシヒカリで、親戚の方が作られているそうです。
メニューが豊富!単品もあります
甘タレがかかった蒸しあなごは、しっとりやわらか。秘訣は、さっと湯がいたあなごを、提供する直前に蒸しているから。他にもあな巻定食、柳川風定食、八幡巻定食なども。自宅でもお店の味を楽しみたい人は、丼ぶりとあなご単品は持ち帰りできますよ。
センタープラザ西館開業時からこの場所で
昭和2年、先代が中央卸市場の前であなごの卸売り店として創業しました。戦後、闇市ができ三宮の地に移転。当時は、職人を雇ってたくさんあなごを焼いて卸していたとか。昭和53年にセンタープラザ西館が建つと同時に、このお店をオープン。 阪神・淡路大震災では、店内の損傷やガス供給の遅れといった影響を受けましたが、開店時から継ぎ足していた秘伝のタレは、奇跡的に残ったそうです。その年の5月に営業を再開し、得意先に卸せるようになりました。
気さくなご主人と笑顔が素敵な奥様
熟練した手さばきであなごを仕込むご主人と、料理担当の奥様。取材中、ご夫婦の掛け合いが楽しく、仲の良さが感じられました。
時代の変化と共に、人々の好みも変わり、あなごを食べたことがないと話す人もいるとか。「私の代で終わりかもしれない」と話すご主人ですが、ケガでしばらく休業していると、常連さんから「いつから開くの?」とお店の再開を待ち望む声が届いたそう。「おいしいと言って食べてくれる人がいることが喜び」と語った奥様の笑顔は、キラキラ輝いていました。
三宮でランチに何を食べようかなと迷ったら、あなご料理を食べてみませんか。素敵なご主人と奥様が待っています。
店舗情報
店名 | あなご料理 大善 |
ジャンル | 和食 |
住所 | 神戸市中央区三宮2-22-11 センタープラザ西館 地下1階 |
営業時間 | 11:30~14:00 ※ごはんが無くなり次第終了 |
定休日 | 火曜日・月曜、祝日、年末年始、お盆 |
公式ページ | http://kobe-daizen.com/ |
取材日 2024年9月3日
阪神・淡路大震災、新型コロナウイルス感染症を乗り越え、市民に愛され続ける飲食店を、市民からの推薦を元に、神戸市は「神戸名店百選」として2022年度に選定しました。 「神戸っ子が愛する、こうべごはん。」は、「神戸名店百選」から紹介します。
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