世界最高水準の性能を持つスーパーコンピュータ「富岳」。何かとニュースで耳にすることもある「富岳」ですが、実はポートアイランドの理化学研究所(計算科学研究センター)にあります。
今回は、2023年11月3日の医療産業都市の一般公開を機に、編集部が「富岳」の“3つのすごさ”を独自取材しました!
すごさ①|計算速度がとても速い
コンピュータと聞くと、机の上に乗っているノート型のものを思い浮かべる人も多いでしょう。でも「富岳」は、サッカーコート半分くらいの広い部屋に、四角い箱のようなものが横12列、縦36列、計432台がずらーっと、並べられているのです。 (機械音もなく、静かな空間でした。)
スーパーコンピュータと普段皆さんが使っているパソコンとの大きな違いは、計算速度。
「富岳」はその計算速度も圧倒的で、「1秒間に約44京回」の計算ができます。「京」という単位は1兆の1万倍。「富岳」をスマホに置き換えると、2,000万台分の処理能力があります。
(1兆の1万倍・・?2,000万台分・・?ピンときませんよね。)
それはつまり、
日本人全員が、一斉に、24時間365日休みなく計算して100年以上かかる計算を、「富岳」ではなんと、“たった1秒”で計算することができるということです!
とてつもなく速いですね!!
そのため、津波や地震の伝わり方のシミュレーションや、ウイルスに効く薬を調べるときなど、膨大な計算が必要なときに、「富岳」は力を発揮します。
すごさ②|世界最高水準に計算が速いのに、“普通に”使える
「富岳」は、世界スーパーコンピュータ性能ランキングの2分野※で、世界1位(2023年5月時点)に輝いています。
しかし、決して世界一を目指して作られたわけではありません。ユーザーの使いやすさを重要視して作られた、汎用性の高い“普通の”マシンなのです。
つまり、富岳専用のプログラムを作らなくても、シミュレーションやビッグデータ、AIなど、幅広いアプリケーションで活用することができ、そこで最高の処理能力を発揮します。
また、アプリもたくさん用意されているため、スーパーコンピュータの専門家でなくても、「富岳」を使うことができます。
この、世界最高水準の性能を、“幅広い分野”で“普通に”活用できることこそ、「富岳」の強みなのです。
※「HPCG(実際にアプリケーションを稼働させた性能評価)」、「Graph500(ビッグデータ処理での性能評価)」
すごさ③|未知の感染症、新型コロナウイルスの研究にも貢献
「富岳」が日本で有名になったのは、2020年に公表した、新型コロナウイルスの飛沫感染のシミュレーション結果。マスクの有無で飛沫の飛び方がどう変わるのか、マスクの素材はどれが良いのかなど、よくニュースで見ましたよね。
そのほか、コロナ禍の経済影響の予測、治療薬候補の探索、ウイルスが細胞に感染する仕組みの解析など、さまざまな新型コロナウイルスの研究に大きく貢献しました。
日本だけでなく、世界中にも影響を及ぼした未知の感染症。もし、「富岳」の活躍がなかったら、もっと大変な状況になっていたかもしれません。
2030年頃に、次のスパコンが誕生?!
「富岳」は今、この瞬間も計算を行っていて、新たな成果を出し続けています。科学の分野だけでなく、野球の大谷翔平選手が投げる「スイーパー」という変化球の解明や、集中豪雨や台風などを精密に把握できる天気予測の研究など、さまざまな分野での活用が進んでいます。
そして、2030年頃を目指して、「富岳」の次のスーパーコンピュータの調査研究が始まっています!楽しみですね。
「富岳」見学ツアーに参加してみよう!
11月に実施される一般公開では、実際に計算機がある部屋に入って、「富岳」を目の前で見たり、一緒に撮影したりできる見学ツアーがあります。この機会にぜひ足を運んでみませんか?
■日時:2023年11月3日(金・祝)10:00~16:00
■ツアー申し込み:2023年10月10日(火)10:00~ 先着1000人。申し込みはこちらから
※5階相当の階段の上り下りがあるため、一人で階段の上り下りができる人のみ申し込みください。
※「富岳」見学ツアーは事前申込が必要ですが、研究紹介やガラス越しに「富岳」を見る等、申し込み不要なイベントも多数あります。
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